令和2年度(2020)秋期

青泉窯

令和2年10月7日(水)~令和3年1月25日(月)

大聖寺藩窯の松山窯に従事した北出宇与門が明治元年、現在の加賀市栄谷町に開いた窯は、当時「北出窯」という窯名でしたが、昭和11年(1936)に彼の地を訪れた富本憲吉によって「青泉窯」と名付けられました。
この出会いによって「青泉窯」は、九谷焼の一窯元から大きく変貌します。富本と親交があった北出塔次郎は、草花・動物・人物等のテーマを新たな視点から解釈し、その表現のために伝統的な九谷焼の絵付けをベースに独自の技法を探求しました。この探求の姿勢は、塔次郎の後を継いだ不二雄によりさらに推し進められ、その塔次郎とは異なる作風は高い評価を得ました。
不二雄の長男・昂太郎もまた、優れた色彩のセンスに基づいた色絵表現で将来を嘱望されましたが、若くして亡くなられたことが惜しまれます。しかし、青泉窯のカラーともいうべき鮮明でモダンなデザインと高い完成度を可能にする技術は不二雄の後を継いだ博嗣や、昂太郎の息子・太郎をはじめ、多くの人々に受け継がれていきました。まさに現代の九谷焼に大きな影響を及ぼした名窯の一つといえるでしょう。
今回の展示では、塔次郎、不二雄、昂太郎をはじめ、青泉窯にゆかりのある人々の作品をご紹介します。「青泉窯」の人々によってなされた九谷焼の色絵による造形の表現の広がりをご高覧ください。

北出塔次郎 色絵柘榴図台鉢
北出不二雄 色絵九谷白鷺之図飾皿
北出星光 赤地金襴手四季図飾壺
河上龍三 色絵更紗文鉢
稲手忠弘 蟹紋様鉢