施設ガイド

ごあいさつ

 古九谷再興を志して豊田伝右衛門は、九谷古窯に隣接して窯を開いたが、九谷の地を去り、ここ山代越中谷に築窯。文政九年に初窯を焚いた。
 以後藩政時代は、明治以降も波乱曲折を経ながら受け継がれてきた。
 先年これら諸窯の重層した窯跡が発掘され、仕事場を含めた周辺と共に整備された。
 この地を訪れた人々には、再興九谷にかけた先人の深い志しと、180年に及ぶ継承の歴史を目のあたりにすることができると思う。

平成15年4月
九谷焼窯跡展示館
初代館長 北出不二雄(元金沢美術工芸大学学長)




【山代吉田屋窯跡(国指定史跡 九谷磁器窯跡)】

文政9年(1826)大聖寺の豪商四代吉田屋伝右衛門によって九谷村から移って以降、同一場所で造り替えや補修を繰り返しながら昭和15年(1940)まで受け継がれた再興九谷の登り窯の遺跡です。脇には明治30年代以降に造られた錦窯(上絵窯)の跡もあります。覆屋は重要な窯跡の遺跡を保護しつつ公開するため、遺跡全体を覆うトラスシェル構造によって最新の技術を取り入れて新しく建設されました。(設計は東京大学名誉教授 内藤廣氏)

山代吉田屋窯跡
(国指定史跡 九谷磁器窯跡)

【山代九谷焼磁器焼成窯及び窯道具類(加賀市指定文化財)】

昭和15年(1940)に築造された、九谷焼を焼いた本焼き用の窯としては現存最古の登り窯です。昭和40年(1965)頃まで実際に使われていました。登り窯としては小規模ですが、それでも一回の窯詰で約1,000個入ったそうです。1回の焼成時間は約30時間で温度は約1,300℃まで上げる必要があり、薪は赤松を使用していました。覆屋内の窯跡にあった登り窯も基本的には同じ構造であったと推定されます。

登り窯(昭和15年築造)

【錦窯】

平成19年(2007)に窯小屋に復元された薪で焚く錦窯です。錦窯は上絵を焼き付ける際に使用します。焼成温度は約800℃で現在はほとんど電気窯が使用されています。この錦窯は伝統的な薪で焚く技術を保存していこうという目的で加賀九谷陶磁器協同組合が築造し加賀市に寄贈されました。現在も1年に1回以上焚いています。

焼成中の錦窯

【旧九谷壽楽窯母屋兼工房(加賀市指定文化財)】

現在、展示棟となっている建物は、江戸時代中期に建てられた家屋を明治30年(1897)頃に移築し、社屋や住居兼工房として代々使われてきました。オエの床板や柱に手斧(チョウナ)の跡が残っていることからこの地域に現存する最も古い民家の一つと推測されます。平成13年(2001)に半解体修理され、現在、九谷焼窯跡展示館展示棟として公開されています。

展示棟

【豊田伝右衛門顕彰碑】

この顕彰碑は、現代九谷焼の陶祖である吉田屋四代、豊田伝右衛門(石翁)の功績を顕彰するため、加賀九谷陶磁器協同組合が中心となり、その生誕250年を記念して、平成14年12月に建立されました。

豊田伝右衛門顕彰碑

【ミュージアムショップ】

加賀九谷陶磁器協同組合に所属している若手作家から伝統工芸士にいたる、地元の現代作家を中心に作品を取り揃えています。在庫限りではありますが、薪焚き錦窯で焼成したグッズなども並んでいます。作品のほか書籍なども販売しております。

ミュージアムショップ