令和2年度(2020)冬期

九谷のカタチ ~幸せを祈るデザイン~

令和3年1月27日(水)~4月19日(月)

遥か古代、まだ自然と人との距離が今よりもずっと近かった時代、人にとって自分を取り巻く世界は、豊かな恵みをもたらしてくれると同時に畏怖すべきものでありました。山野をかける猛々しい動物達、干ばつや洪水、地震などの災害、そして多くの人命を奪う伝染病・・・。世代を重ねて蓄積される経験値をもってしてもなお、人知の及ばないそれらの力に対して祖先達は祈りを捧げるほかなかったのでしょう。そして、その対象として、壁画をはじめ、身近な道具や器、装身具等に思いの丈を込めて形を造り、紋様を描いたのでした。龍や鳳凰等の想像上の存在は勿論のこと、実在する獣や鳥、草花、単純な図形にさえ吉祥の験を見出した人々の眼差しは、平安への願いと希望にみちていたのかもしれません。そうして生み出され、世代を重ねて伝えられてきたデザインを今回の展示でご紹介します。題して「幸せを祈るデザイン」―新たなウィルスの脅威が世界を覆っている今、人の心までその脅威に屈してしまわないことを祈って・・・。

浅井一毫 赤絵雲竜図蓋付菓子鉢
中村翠恒
巾着図に鼠 置物 小判に鼠 置物
初代滝口加全 染付捻形鉢