令和5年度(2023)夏期

「近代九谷の名工たち」~染付と上絵~

令和5年7月5日(水)~令和5年10月9日(月)

 伝統的な陶芸の絵付として、二つの技法が知られています。一つは「上絵付」、そしてもう一つは「下絵付」と呼ばれています。
 では「上」と「下」を区別しているものは一体何でしょう。それは、器の表面に焼き付いている「釉薬」と呼ばれるガラスの膜-これを境界面として区別します。
 釉薬の下に絵付けを施す技法を「下絵付」と呼び、中でも「染付」は、釉薬を透して見える様々な藍色の表情が、日本人の感性によく合いました。
 一方の「上絵付」は、釉薬の表面に更に絵付を施し焼き付けることから、色彩が非常に鮮やかに発色します。九谷焼では草創期の「古九谷」の時代から、江戸時代後期の「再興九谷」、そして近代へとその両方の技法が伝えられてきました。
 全く異なる技術を要する二つの絵付けを駆使し、器の豊かな装飾表現を目指した再興九谷・江沼諸窯の陶工たち-今回はその作品をご紹介します。
 

二代 中村秋塘
ブドウ模様花瓶
初代 中村秋塘
染錦草花文端皿
二代 中村秋塘
花鳥図耳付花瓶
九谷陶器会社
梅散らし文山水図鉢
大聖寺伊万里
楼閣人物図長四方皿
大聖寺伊万里
沈香壷