令和3年度(2021)夏期

近代九谷の名工たち ~花鳥~

令和3年7月7日(水)~10月4日(月)

鳥は私たち人間にとって身近な存在です。翼を持ち天空を自在に舞う姿から、古来より天と人間を結ぶ使者の象徴とされました。美術や文学においても何物にもとらわれない自由や人間の精神、魂を表す場合があります。そして九谷焼においても、鳥は重要なモチーフとして器の表面を飾ってきました。ある絵柄は、そのさえずりや羽ばたきが聞こえそうなほどに活き活きと、又ある絵柄では静かで優美に佇むように。もしかしたら、かつての陶工達は自分の周りに去来する鳥たちを、その感じるままに器の表面に留め置きたい、その姿や啼き声をいつも身近に感じられるように-そう願ったのかもしれません。そして、四季折々に咲き誇る草花や木々と組み合わせることで、彼らなりの「庭園」を描こうとしたのではないか。器の中の、小さな「鳥達の園」を。今回の企画展では、鳥や草花をモチーフとした作品群をご紹介します。移ろいゆく身近な自然を器に描きとめた、陶工達の眼差しを感じていただければ幸いです。

北山雲平 梅に牡丹鳥輪花形皿
河上龍三 色絵瑞鳥図陶瓶(ニ)
山野和平 色絵花鳥図皿(五)
北山雲平 金彩松に小禽飾皿