令和3年度(2021)秋期

KAZEN 京と九谷の架け橋

令和3年10月6日(水)~令和4年1月17日(月)

加賀九谷の名工の一人である初代滝口加全は、明治5年(1872)、江沼郡滝ケ原村で生まれました。陶芸の道を志し、京都にて千家十識の名門、永楽家12代和全の弟子となりました。その技量がいかに優れたものだったかは、永楽家より「全」の称号を許されたエピソードからもうかがえます。加賀国出身ということから「加全」と称しました。同40年に帰郷。山中温泉・矢口永寿の窯や大聖寺・初代中村秋塘の窯でその腕を振るい、大正10年(1921)、現在の加賀市大聖寺神明町に自らの窯を開きました。作品制作において、師より伝えられた技法やデザインを如何なく発揮し、近代の加賀九谷の中にその表現を確立、昭和15年(1940)に亡くなりました。
 その後を継いだのは、明治44年(1911)金沢生まれの脇田勝次。昭和14年(1939)、滝口家の婿養子となりました。戦前は、文展、日展等に出品していましたが、二代加全を継いだ後は無所属にてその陶技を追求し、平成16年(2004)に亡くなりました。
 今回の展示の親子2代にわたる滝口加全の作品により、京都と当地の文化的結び付きの一側面と加賀九谷の表現の広がりをかんじていただければ幸いです。

初代滝口加全 作
交趾龍鳳凰紋鉢
二代滝口加全 作
椿紋平鉢
初代滝口加全 作
南蛮写土釜