平成25年度(2013)冬期
青手と赤絵
平成26年1月8日(水)~4月7日(水)
九谷焼の代表的な様式である青手と赤絵は、それぞれ吉田屋・宮本屋窯の時代に確立されました。九谷色絵の五彩のうち、赤をまったく使用しない青手と、逆に赤を中心とした赤絵。構図も青手は大胆重厚、赤絵は細密豪華と対照的な絵付けで描かれました。二つの様式が生み出す色彩のコントラストとハーモニーを是非、ご高覧下さい。
※青手・塗埋手
九谷焼を再興した吉田屋は、九谷陶石に陶土を2割混ぜた半磁胎の「鼠素地」で、九谷五彩のうち赤を使わない4色を用いて器面の大半を塗りつぶす「塗埋手」によって、古九谷様式を再現しました。江戸後期としては珍しく大胆な構図が多いのはそのためです。それでも時代を反映して、黒骨描の線は繊細に描かれたものが多く、それが次代の宮本屋窯に引き継がれたと考えられます。絵付師には粟生屋源右衛門・鍋屋丈助・越中屋幸助の名が知られています。
※赤絵細描
江沼九谷の赤絵は、山代温泉の春日山窯初代木崎卜什が、天保2年(1831)に始めたのが最初であるといわれています。その翌年吉田屋から経営を引き継いだ宮本屋窯では、画工の飯田屋八郎右衛門が中国の墨型見本であった「方氏墨譜」から豊富な画材を得て大成しました。以後近代に入って浅井一毫や初代中村秋塘などの名工を輩出し、より細かくミクロの世界を求めて技術を高め、現代に及んでいます。