令和6年度(2024)夏期

 「山水」は、古くから知られる絵画で、特に水墨画における重要な主題の一つとして発展しました。「山水画」とは単なる風景画ではありません。古代中国の人々にとって、それは「山」と「水」を基本モチーフとして構成された、描き手の「世界観」、心の中の「宇宙」を投影したものでした。
 ある意味、「理想郷」を描いたものだったのかもしれません。墨と筆、そして紙などの支持体によって生み出される独特な風景表現、鑑賞者の中には、その画面から何らかのインスピレーションを受け取る人々もいました。器に山水を描いた人々も、そうだったのではないでしょうか。器の中に描かれた景色、そこには陶工達の中にある心象が反映されているのかもしれません。
 また、「山水画」はその中に入り込み、描かれている風景の中を巡って楽しむものだともいわれます。山道を歩き、連なる山並みや眼下の河川の流れを愛で、庵に住む友を尋ねる。画中に描かれた景色の中に憩い佇む人々もまた、それを観る人或いは使う人の「分身」なのかもしれません。
 今回の展示で、再興九谷・江沼諸窯の陶工達が作品に込めた心の中の風景_ー楽園への想いーを感じていただければ幸いです。

青手楼閣山水図端皿
九谷本窯
染付赤壁譜図壺
九谷陶器会社
古九谷写色絵山水図小皿
九谷陶器会社
色絵山水人物図香炉
下出梅仙
染付垣ニ鳥図変形皿
九谷壽楽窯
色絵船人物図船形皿
九谷壽楽窯