2019年度 秋期

秋塘と翠恒(第1期)

令和元年10月9日(水)~令和2年1月20日(月)

明治から大正にかけて、当時の江沼郡(現在の石川県加賀市)では、吉田屋窯が先鞭をつけ、宮本屋窯、松山窯、九谷本窯と受け継がれ蓄積された再興九谷の技術と伝統が炸裂するかのように名工と呼ばれる陶工たちが多く輩出されました。その中の一人、初代中村秋塘は慶應元年、大聖寺の生まれ。最初、父・茂一郎から陶画を学び、後に竹内吟秋に師事しました。地元では赤絵細描の名手として知られる初代秋塘。しかし、その作風は幅広く、仁清風等の京焼を意識したものや茶道具を意識した楽焼風の軸陶の作品、幻の技法といわれた砡質手等、その作品の多彩さは、そのまま九谷焼の持つ自由な気風とあくなきチャレンジ精神を象徴しているかのようです。師・吟秋に倣い、自身も多くの弟子達を育てた初代秋塘。その作陶への姿勢は門人たちを通じ、現在の九谷焼業界に大きな影響を与えています。
今秋から来春にかけて、中村秋塘と中村翠恒という、絵付けと成形の名手であり、父と子でもある二人の、陶器を画面として展開する豊穣なイメージをご高覧ください。

初代中村秋塘
赤絵梅に鳥図鉢
初代中村秋塘
赤絵金彩鵄図三組盃
初代中村秋塘
砡質手梅図徳利