2019年度 春期

江沼九谷の流れ ~デザインと技法~

平成31年4月17日(水)~令和元年7月8日(月)

九谷焼は装飾的な器として知られています。本来、装飾は器としての機能には直接関係は無いように思われます。しかし、縄文式土器にも見られるように、古来より人は身近な器に装飾を施してきました。それが豊穣への祈りであったのか、人をもてなす心遣いだったのか、全ては想像の域を出ません。しかし、人の想いがそこに現れているという意味では、描かれているものが紙であれキャンバスであれ器であれ、それが芸術であることには違いは無いでしょう。違いがあるとすれば、描かれている「モノ」と描く為の「モノ」が「物質」である以上、その性質を理解し、それを使いこなす技術に違いがあるということ。
古九谷の昔から、自分の想いを器に描くために、先人達は「九谷五彩」や「染付」と呼ばれる絵具類の理解と描く為の技術や道具、器の地肌を覆う「うわぐすり」の調合、そしてそれらを焼き付ける窯の構造や焼成の方法を経験と口伝によって蓄積してきました。今回の展示により、再興九谷・江沼諸窯に受け継がれてきたデザインやそれを生み出す人の技に思いを馳せていただければ幸いです。

松山窯 円龍図端皿 十客
竹内吟秋 唐美人図角切皿
初代中村秋塘
砡質手兎図小皿(二十)
北出昂太郎 色絵牛図飾皿