2019年度 夏期

近代九谷の名工たち ~蒼翠~

令和元年7月10日(水)~10月7日(月)

《蒼翠》樹木が青々と茂っていること。その気配は背景に広がる空や海の青さを感じるような「緑色」や「紺色」などの涼しげな印象を受ける作品をご紹介します。
「陶芸」の絵付技法の内、「上絵付」は釉薬の上に、さらに絵付けを施し焼き付ける技法で、九谷焼はこの技法を発達させました。特に「九谷の青」と呼ばれる緑色は酸化銅を発色剤とし、鮮やかさと深さを兼ね備え、また「紺青」と呼ばれる青色は酸化コバルトを発色剤とした青色で、画面にアクセントを与えます。それに対し「染付」は、同じ酸化コバルトが主原料の「呉須」を用いながらも、器胎が焼き締まる手前の「素焼き」の状態に絵付けを行う「下絵付」技法で、ガラス質の釉薬の奥から見えるやわらかく味わい深い藍色が日本人の好みにもあいました。私たちになじみの深い青色や緑色。緑蔭深まるこの季節、今回の展示をご覧いただく皆様にとって、ひとときの「木陰」となれば幸いです。

初代矢口永寿 井桁形染付皿 六客
苧野旭泉 色絵柳銘々皿(五)
嶋田寿楽窯 染付蓋付飯碗(五)
九谷寿楽製陶所
青手瓢箪図中皿