2019年度 冬期

秋塘と翠恒(第2期)

令和2年1月22日(水)~4月6日(月)

2019年度秋冬企画展、第2期は初代中村秋塘の次男、翠恒の作品群を3つの視点から展示します。一つは「平物」と呼ばれる皿形の作品群です。飾皿等装飾性が際立つ九谷焼の皿類ですが、翠恒は伝統的な九谷の絵付技法に加え、素地に線刻を施し、その上に絵付けをすることにより、平面的な絵付けに彫刻要素を加味しました。また、丸以外の形の皿の成形や独特の縁造りも行いました。もう一つは「立物」と呼ばれる花生けや壺類です。この作品群では立体としての形態と花や液体を容れるという機能性、その為の内部空間や開口部のバランスが追及されました。そして先に述べた線刻技法や釉薬のバリエーションと併せ、作品は豊かな表情を獲得しています。そしてもう一つが「置物」類。確かなデッサン力と造形技法によって生み出された作品群は、まさに「陶彫」。写実性と抽象性が一体となった作品からは、観る者に一遍の物語さえ感じさせます。素材と質感、機能と携帯と装飾、これらの調和を「陶芸」のもとに探求した中村翠恒。その探求の軌道をご高覧ください。

中村翠恒 色絵丸花入
中村翠恒 金彩牡丹香炉
中村翠恒
門置物(楼閣人物像)
白磁白衣観音置物